明日が終わる、その時まで【完】
「晶ちゃん……ヒーローすぎるよ」
「ヒーローか。悪くないね」
でも、みんなのヒーローになりたいわけじゃない。
私が大切に思う人、私を大切に思ってくれる人。
あとはそうだな、優しく生きている人、傷ついて悲しんでいる人、自分を傷つけて苦しんでいる人――そういう、狡く生きれない人。
そういう人と出会ったときは、迷うことなく寄り添いたいって思う。
「ありがとう」って、見返りが欲しいから。ご褒美目当て、下心ありだけどね。
「じゃあ勉強頑張ったご褒美も食べちゃおうかな」
「あと30分集中して頑張ったらね」
私が手を出そうとしたおやつを素早く取り上げて、にっこり微笑む小春。
「そんなぁ……」
「はい、シャーペン持って。問題集開いて」
「……はい。やります。さぼってすいません」
普段、気は優しいけど、こういうときはしっかり者を発揮する小春に、この先も頭が上がる気がしない。
仕方なく、ご褒美までの30分、私はひたすら問題を解くことになった。