明日が終わる、その時まで【完】






そしていよいよ――中間考査が始まった。

こないだまで学級崩壊寸前だったクラスとは思えないほど、男子も女子も、2組は普通の日常を送っている。

まっつんなんか、楠田くんに勉強を教えてあげている。


もともと正義感が強くてお人好しだからね。

男子の報復が終わってからしばらく孤立していた楠田くんに一番に声をかけたのもまっつんだった。


楠田くんのことだけど、わかったことがある。


高校入学前にお父さんとお母さんが離婚したそうだ。

というのも、楠田くんのお父さんは事業に失敗してから、仕事もせず、毎日浴びるようにお酒を飲む生活をしていた。
ときどき、楠田くんのお母さんに暴力をふるうこともあったらしい。

そしてようやく離婚が成立して、お母さんは子どもたちを食べさせるために仕事をいくつも掛け持ちしていた。

だから、家のことは主に楠田くんが担当していて、まだ小さい双子の妹の面倒も楠田くんがみているそうだ。


そういった環境のストレスや複雑な感情を、学校で発散していたんじゃないかって……。


楠田くんのお母さんとパート先が一緒の小春のお母さんがこぼしていた。


男子に横暴に態度をとっても、女子にはそういう素振りすら見せなかったのは、耐え続けるお母さんの姿を見ていたからなのかなって想像すると、なんだか切なかった。


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