明日が終わる、その時まで【完】
「……なにあれ」
私は、ばい菌か?
派手な寝ぐせも気にしないピュアな福沢くんに悪影響を及ぼす存在とでも思っているの?
大切な幼馴染っていうのはわかるけど、ちょっと過保護すぎるんじゃない?
なにあれ。感じ悪っ。
「なにもわかってないんだから」
呆れたようにつぶやく私の元に、どこからか視線を感じた。
すっと斜め上を見ると、小春がなんとも言えない表情で私を見ていた。
えっ、なにその複雑そうな顔は。
呆れているような、哀れんでいるような、ちょっと引いてもいるような、そんな感じの顔しているけど。
なに? 小春、なんでそんな顔で私を……。
「なにもわかってないのは晶ちゃんと福沢くんだと思う」
「ウグッ」
真正面から、ばっさり切り込まれた。
本当に切られたわけじゃないのに、無意識に胸元を押さえてしまう。
「ね、ねえ小春。それどういうこと?」
負傷した傷を押さえながら、私は小春にすがりつく。
「それは自分で考えて」
「ええっ。そこをなんとか」
「だめ。自分で解いて」
「小春、ねえ、小春。小春ちゃん?」
「だめ」
いつになく厳しい小春。
そして、10年以上の付き合いになるともう態度でわかる。これはどんなにお願いしても無理なやつだ。
明日からもまだまだ解かなきゃいけない問題があるっていうのに、小春が言う「なにもわかってない」の意味も解かなきゃならないって……、だめだキャパオーバーだ。
ひとまず小春に言われたことは後で考えるとして、今は中間考査の解答を優先することにした。