明日が終わる、その時まで【完】
だってそうじゃん。
私の相棒のくせに、こんな良い点数をとるなんてこれは完全な裏切りだ。
柴田の顔に9位のフィルターが張り付いて見えるせいで、柴田が余裕の表情を浮かべているようにさえ感じる。
「これからは柴田さんって呼ばせてもらおうかな……」
「絶対やめろ。気色悪い」
迷惑そうな顔で私の敬意を拒否する柴田。
気色悪いって、なに? せっかく形から敬おうと思ったのに。
睨み合う私と柴田の隣で、小春が「2人とも」と、少し強めの声で制す。
「晶ちゃん、柴田くんも。今日1限目体育だから早く移動しないと間に合わないよ?」
ああ、そうだった! 今日1時間目体育だ。
小春に言われて、私は柴田に手を上げた。
「じゃーねー柴田、私は先行くわ」
「柴田さんじゃねえのかよ」
「ふーんだっ、気色悪いんでしょ。この先二度とさんづけしてやんないからね」
「別にいらねえよ」
「あっそ。じゃあねー」
柴田にひらひらと手を振って、小春と一緒にジャージを持ってグラウンドへと急いだ。