明日が終わる、その時まで【完】
「柴田ぁーー!!」
さっさと着替えをすませて、外から繋がる体育館のドアを開けた私は、柴田の名前を大声で叫んだ。
男子はバスケの試合中だったみたいで、今まさにシュートを決めたばかりの柴田が私の方を向く。
「行くよーー!!」
興奮しているせいで、ついつい体育館中に響き渡るほどの大きな声が出てしまった。
額に汗をかく柴田が、怪訝そうな顔で近づいてきた。
「行くって、お前どこに行く気だよ。つーかなんで制服着てんだよ。授業どうした」
「今日はもう授業終わり」
「いや、終わってねえよ。まだ20分も残ってんだろ」
あーったく。そんなにピアスつけて、ハイトーンの髪のしておいて、真面目か。
「さぼるよ。ついてきな」
「……ああっ?」
突拍子もない誘いに、柴田は頭を抱える。
「行くのっ? 行かないのっ?」
「……はあっ……1分待て。着替えてくるから」
「1分だけだからね」
その後、柴田は本当に1分で着替えを終えて戻ってきた。
体育の先生がなんか後ろで叫んでいたけど、「佐野と柴田、体調不良ですっ!」と走り去りながら応えておいた。
後ろから「どこがだあぁぁー!!」という先生の声が聞こえたけど、耳をふさいでおいた。