明日が終わる、その時まで【完】
走る速度を上げたおかげで、想定よりも早くマンションの前に着いた。
乱れた呼吸を整えて、私は部屋番号を押した。
《晶ちゃんと大吾くん、守から話は聞いてるわよ。今開けるわね~》
「はい、すみません」
柴田の着替えを待っている間、私は福沢くんに話を通しておいた。
前回マンションに入った時に失くし物をしてしまったから探したいということをおばあちゃんに伝えておいてほしい、と。
福沢くんのおばあちゃんはちょっと天然なところがあるそうで、この時間に制服を着た私たちが来ても、不思議に思わないでいてくれた。
マンションに入ると、私たちはすぐにエレベーターに乗った。
屋上までの時間が、やけに長く感じる。前回はそんなことなかったのに。
「屋上に入ったら、私がやること黙って見てて」
「何する気だ?」
「いいから、約束して。絶対止めないって」
「……わかったよ」
柴田から約束を取り付けると、エレベーターのドアが開いた。
屋上のドアは再びあの秘技を使って開けた。
私の感覚だと、5回以上やると壊れやすいから何度もすることはできない。だから、もうこれを最後にしたい。
なにより、まあまあ犯罪だし。
屋上に着くと、柴田はドアの前に体を預けて、私の行動を見守った。