明日が終わる、その時まで【完】
私は、柴田に背を向けて屋上を歩く。
前回来た時に光が見えた箇所に移動するも、前回と今日とでは太陽の位置が違うせいか、光は見えなかった。
ゆっくり歩いて場所を確認する。
ここじゃない。ここでもない。
歩いては確認して、歩いては確認して、何度もそれを繰り返した。
――キラッ。
「あった……」
ここだ。
私は空を見つめるふりをしながら、不自然に反射が見えた場所を見た。
光が見えた先にあったのは、向かいのマンションの斜め後ろにある4階建てのマンションだった。
見た限り、築50年くらいは余裕で経っていそうだ。
この時間だからわからないけど……賭ける価値は、ある。
「柴田」
私は後ろにいる柴田を振り返らずに声をかける。
「なんだよ」
「動かないで、そのまま聞いて」
「あ?」
「向かいのマンションの斜め後ろにある4階建てのマンション、見える?」
「ああ」
「画質粗くなっていいから、スマホのカメラ拡大して、そのマンションの動画撮って。あと、動画撮ってるってわからないように、スマホ隠せる?」
「やってみる」
「私がいいって言うまで撮って」
「わかった」
柴田の返事を聞いた私は、そっと制服に手をかけた。
すぐ後ろでハッと声にならない声が聞こえたけど、気にせず続けた。