明日が終わる、その時まで【完】
◇
それから一週間後の日曜日。
「すみません。マンションの管理会社の者ですけど、ちょっとよろしいでしょうか」
ゆっくりドアが開かれると、部屋の中から男が顔を出した。
50代くらいの、小太りの男だった。
「榎本康さんですね。僕ね、こういうものなんですけど」
「っ‼」
警察手帳を見せながら、ドアに自分の体を挟んで、閉められないように先手を打ったのは、柴田のお父さんだ。
「ちょっと話聞かせてもらってもいいですか?」
「っ……なんでっ、なんでっ、なんでばれっ……はっ!」
男の視界に映るように、私と柴田もお父さんの隣に移動した。
男は私の顔を見るなり、ぎょっとした顔をした。
私、柴田、柴田のお父さんは、榎本という男の部屋に入った。