明日が終わる、その時まで【完】


後日、柴田から、お父さんが男の素性や行動を調べ始めたことを聞いた。

そして今日、珍しく私服姿のお父さんに違和感を覚えた柴田が私に連絡をくれて、先回りしてお父さんを待っていたというわけだ。



「まあ、座れ」


お父さんが榎本に言う。

榎本は言われるがまま、ダイニングテーブルの椅子に座った。


「榎本康、56歳、無職。合ってるな?」

「……はい」


もう逃げられないことを観念したのか、榎本はお父さんの質問に素直に返事をしていく。


「収入は?」

「……父親の、遺産を、切り崩して」

「いつから始めた」

「……ここに、引っ越してからです」

「いつだ」

「えっと……15年くらい前、だったと思います」




「「!」」



私と柴田は顔を見合わせる。



「写真か? 動画か?」

「……5年くらい前までは、ビデオカメラを置いて毎日映像を。でも、映像は長いですし、全部見返すことはほとんどなかったので、最近は、デジタルカメラとスマホで写真を」

「出せ」

「えっ?」

「過去の映像全部出せっ!」


ドスの効いたお父さんの声が部屋に響く。

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