明日が終わる、その時まで【完】
「ぜ、全部って、何万時間じゃきかないですけど……」
「8年前の映像だっ! とっとと探せっ!」
「はっ、はいっ」
榎本は言われるがまま、デスクがある寝室へ向かった。
「柴田…」
「……すげーな。ははっ、信じらんねえよ。俺、夢でもみてんのか?」
柴田の唇は震えていた。
身震えが止まらないのか、自分の右手で左手の震えを必死に抑え込んでいるものの、その右手も震えていた。
声も上ずって、異様に緊張しているのがわかる。
数々の修羅場をくぐり抜けているはずのお父さんも落ち着かないのか、さっきから貧乏ゆすりが止まらない。
映像が、残っていた。
本当に残っていた。
夢でもなんでもなく、これは現実。
「柴田……大丈夫?」
もしも、お母さん亡くなった映像があれば、死の瞬間をこの目で見ることになる。
警察が示した結果通りだとすれば、これからその映像を見ることになる。
これ以上、柴田の心の傷が深くなってしまわないか、不安で仕方なかった。