明日が終わる、その時まで【完】
私たちは脇目も振らずにデスクに集まり、榎本のパソコンを凝視した。
過去の映像や画像のデータは全てパソコンのフォルダに保存しているようだった。
犯罪者ではあるけど、今は几帳面な榎本の性格に感謝しかない。
「7月の映像あるか」
「あっ、はい」
その年の7月のフォルダをクリックすると、1日から31日までの映像がずらっと表示された。
「12日だ」
7月12日。
その日が柴田のお母さんの命日だったんだね。
榎本が12日の映像をクリックすると、すぐに柴田が住んでいたマンションが画面上に映った。
時刻は朝の6時だった。
すごい……本当に映ってる。
息を吞む私のそばで、柴田の呼吸も一瞬止まったように見えた。
「9時台まで早送りしろ」
「はい」
お父さんの指示で、映像が9時台まで早送りされる。
そして、再び映像が流れ始めた。
すると、バルコニーから一人の女性が現れた。
「母、さん」
こぼれ落ちるような柴田の声。
えっ、じゃあこの女性が、柴田のお母さん。