明日が終わる、その時まで【完】
最終章
6月――梅雨入り前のとある土曜日。
私は柴田の家に向かっていた。
それは昨日の夜のこと。
柴田と福沢くんとの3人のグループメールにこんなメッセージが届いた。
⦅明日、親父と佳代子さんが、家で母さんを偲ぶ会を開きたいって話してる。急だけど、親父たちが守と佐野も来ないかって⦆
私と福沢くんは、ほぼ同じタイミングで、
⦅行く!⦆と、返事をした。
ちなみに、6月に入ってすぐに鑑定の結果が出た。
現場に落ちていた乳歯と、柴田の提出したDNA型が完全に一致した。
あの乳歯はやはり柴田のものだった。
柴田のお母さんは、身を投げようとするも、寸前で思いとどまった。
生きることを選んでいた。
だけど、手のひらからこぼれた柴田の乳歯を追いかけて、亡くなった。
お母さんが誤って転落した、事故だった。
これが8年前の真実。