明日が終わる、その時まで【完】


薄笑いを浮かべる柴田のその顔は、全然楽しそうに見えない。


「ご丁寧にどーも」


この男と関わっても、百害あって一利なしだ。

言ってやりたいことはたくさんあるけど、これ以上こいつとは関わりたくない。

私は柴田の顔を見ずに軽く返事だけをして、教室のドアへと歩みを進めた。



「おい、待てよ」



柴田の声が私を止める。

私は、一応止まった。


「なに」


でも振り向くことはせず、返事だけをする。


「余計なことすんなよ。お前関係ねえだろ」


柴田の言う通りだ。


楠田くんが体育館で伸びていようが、男子たちにいじめられていようが、私には関係ない。

それに、小春の話しを聞くに、楠田くんがこうなった本当の原因は柴田じゃない。

楠田くんの今までの傲慢な行いが招いた結果だ。

柴田の存在は男子たちのうっ(ぷん)が爆発する引き金になっただけで、今の状況を招いたのは楠田くん本人。


自業自得というやつだ。


私は善人じゃないから、申し訳ないけど楠田くんのことも当然の報いだと思う。

本気でどうでもいいんだけど。

でもさ、こういうことが自分のクラスで起きていること自体がもうすっごい目障りなんだよね。


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