明日が終わる、その時まで【完】
――――……
「それでさー、楠田くん体育のマットの上で完全に伸びちゃってて」
学校から家に帰ってきた私は、さっそく今日の出来事をパパに愚痴っていた。
「で、晶はどうしたの?」
この長身の優男が私のパパ。
佐野光、46歳。
月1出勤の在宅ワーカーってやつだから、朝も学校から帰ってきても家にはパパがいる。
料理も掃除もなんでもこなすスーパーパパ。
「私? とりあえず楠田くんの生死確認したよ。おーい、生きてるー? って」
「ハハハハ、軽いなぁ」
「で、生きてたから教室戻った」
「えっ、助けなかったの?」
「うん。それ楠田くんにも同じこと言われた」
楠田くんの生存を確認して満足した私は、さっさと教室に戻ろうとした。
そんな私を見て、『いや助けろよっ! 普通、大丈夫? とかなんとか言って、駆け寄るだろっ!?』と、ぼろぼろの楠田くんにつっこまれた。
そんな元気があれば大丈夫だなって逆に安心して、私はそれも無視して教室に戻ったのだ。
「まあ、確かに可哀そうだと思うよ。同じクラスの、それも今まで自分が友達だと思って接してきた男子たちに寄ってたかってやられてさ。でも、今の状況作ったのって柴田大吾じゃなくて自分でしょって話」
「わー手厳しいね~」
「だってそうじゃん」