明日が終わる、その時まで【完】
「んー、どうするかなぁ」
「ハハハ、晶は頭固いなぁ」
「はあっ?」
私は思いっきりパパを睨んだ。
娘に睨まれても楽しそうに笑っている。それがうちのパパだ。
「もっとシンプルに考えなよ」
「シンプルに?」
「男子たちは柴田くんの威を借りて大胆なことをしちゃってるわけでしょ?」
「うん」
〈虎の威を借りる狐〉ならぬ、〈柴田の威を借りる男子〉だ。
言葉にすると、ますます情けないったらない。
「だったら、その柴田くんを晶が手懐けちゃえばいいじゃん」
手懐けるって……柴田は猫か?
「無理無理。だって柴田女嫌いっぽいし、警戒心すごいし」
「ポンだって最初そうだったよ」
「それは……そういえば、そうだったね」
「ワウ?」
今でこそ私の膝の上でお腹を見せてくれるポン。
だけど、出会った頃は手がつけられないなんてものじゃない。
手をつけようとするものなら嚙みちぎってやるぐらいの勢いだった。