明日が終わる、その時まで【完】
ポンと私が出会ったのは私が7歳の時。
私が小学生になったら犬を飼うことは前から決まっていて、ようやく小学生になれた私は、日曜日のたびにパパと保護犬の譲渡会に参加していた。
そこで出会ったのがポンだった。
出会った当時のポンはすでに1歳を迎えていて、行き交う人すべてに歯をむき出しにして威嚇していた。
触ろうとするものなら、誰彼構わず容赦なく噛みついてきて、譲渡会のオーナーさんの右手もポンに噛みつかれて傷だらけだった。
言葉通り手のつけられないほど荒れた犬だったポンに、なぜか私は強烈に惹かれた。
この子の安心した顔が見たい。
体を撫でられて気持ち良さそうにする顔が見たい。
私が、私たち家族がこの子を幸せにしたい。
そう思って、オーナーさんと、パパと何度も話し合って、ポンを引き取ることが決まった。
ポンを引き取った後のことを語り始めると、とてもじゃないけど1日じゃ足りない。
5日でも足りない。
小説一冊分でもまだ足りないだろう。
でもそんなポンが、今では私の膝の上あっぴろげにお腹を見せている。
「怖くない。傷つけない。大丈夫だから、信じてって、時間をかけてこっちの心を伝えれば、お腹の中を見せてくれるんじゃない?」
「柴田も?」
今のポンがそうであるように、柴田も見せてくれるだろうか?
「さあ? それは知らないけど」
一転して、いい加減なパパに戻る。