明日が終わる、その時まで【完】
――翌日。
教室に入ると、黒板の前に亜美と梨花が並んでいた。
二人の顔や制服からは黒い水が滴っている。
「はあっ」
思わずため息がもれる。
今日は一体なんだっていうんだ。
恐怖に震えながら涙を浮かべる亜美と梨花の視線の先には、柴田率いる男子たちがいた。
と言っても柴田は椅子に座っているだけで、実際に二人を追い詰めているのはまっつんを中心とした男子たちのようだった。
「「晶っ! 助けてっ!」」
私の存在に気づいた亜美と梨花が悲痛な声を上げる。
助けてって言われても、何がどうしてこうなったのか、まずは誰か説明して。
そんな私の心情を察してか、亜美と梨花よりも大きな声でまっつんが私に向かって叫ぶ。
「晶、止めんなよっ。そいつらはなぁ、大吾さんの机に〈死ね〉とか〈消えろ〉とか〈生まれたのが間違い〉とか、油性ペンで散々なこと書いて、その机を廊下に放り出そうとしてたんだっ!」
また頭の悪いいじめっ子がしそうなことを……。
一応、本当なのかを確認するために亜美と梨花に視線を投げる。
「「……」」
口を閉ざしてあからさまに私の視線から逃げる二人。
どうやら、まっつんの言ったことはすべて事実のようだ。