明日が終わる、その時まで【完】



私は柴田の手首を掴んで、行動を止めた。



「……手ぇ離せ。お前に関係ねえだろ」



関係ないよ。あんたが何しようが私には関係ない。

何度も言うけど、私は善人じゃないからね。

やられたらやり返せ精神だから、亜美と梨花はやり返されて当然って思っているし。


でもさ、柴田。それはやめた方がいい。



「それはやめな」

「お前に関係ねえって言ってんだろっ!」



そこでようやく私を振り返り、目を見る柴田。


柴田の目は私を映しているのに、その心は私を見ていない。

()てついてしまいそうなほど冷たく見える目を、小春は怖いと言っていた。


でも私は――柴田の目を見ると、胸が痛くなる。

ズキズキ、ズキズキと、痛くて息苦しくなるほどに。


犬と一緒にしたら柴田に怒られるかもしれないけど、柴田は初めて会った日のポンの目と同じ目をしている。


傷ついて、傷ついて、傷ついて。

深い悲しみに侵された目は、こっちを見ない。

私たちが見えていない。

私たちの姿を心に映してくれない。



だから何を言っても、何をしても、響かない。

思いが届かない。







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