明日が終わる、その時まで【完】
「あんた、私の大切な人に似てるの」
「……は?」
さすがに犬とは言えなかったからポンを人間にしておいた。
まあ……笑ったり、怒ったり、鳴いたり、ちゃんとトイレで排泄して。
だいたい人間みたいなものだし、いいだろう。
「だから、自分を傷つけることしてほしくない」
「……はあ? 意味わかんねえよ。人のやることには文句言うなって言っておいて、人のやることには口出すって、自分勝手すぎるだろ」
「あんただって自分勝手じゃん。お互いさまでしょ?」
「お前と一緒にするな」
「一緒になんかしてない。少なくとも私は人に墨汁飲ませるような鬼畜な趣味はない」
「俺だってねえよ」
「だったらそれ放してよ。そんな趣味ないんだったら、ちゃんと証明して」
怖くない。傷つけない。大丈夫だから、信じてって、時間をかけて心を伝えれば、いつか見てくれるかもしれない。
こっちを心に映してくれるかもしれない。