明日が終わる、その時まで【完】
多分このときの私は、まだ、誰の姿も心に映さない柴田の心に触れる覚悟ができていなかったのだ。
せっかく卒業まで同じクラスになったんだから、柴田が心を開いてくれたらいいなって、ポンみたいに穏やかな顔つきになってくれたらいいなって、そんなふわっとした気持ちだった。
だから、福沢くんから柴田が変わってしまった理由を聞いて、正直足がすくんだ。
なんの関係もない私が、ただのクラスメイトでしかない私が、このまま真っ直ぐ踏み込んでいっていいのかなって。
この先、柴田がどうなろうと私は関係ない。
関係ない――けど、さ。
もう、見ちゃったんだ。あの目を。
あの頃のポンと同じ目を。
この目で見ちゃったら、もう見なかった頃には戻れないんだよね。
関係ないとか、もうどうでもいい。
理由なんて、全部、どうだっていい。
深い悲しみに侵された目をしている柴田が、嫌だから。
私が、嫌だから。
理由なんてそれで十分でしょ。