明日が終わる、その時まで【完】
福沢くんに教えてもらった住所は、確かこのへんだ。
一軒ずつ表札を確認していく。
柴田、柴田と……。
あ、あった。
「ここ?」
クリーム色の外壁に、オレンジ色の瓦屋根。
綺麗にお花が植えられた花壇といい、意外といっては失礼だけど、柴田の家は温かみのある可愛らしいお家だった。
まさかこんな家に柴田が住んでいるとは、想像できなかったなぁ……。
普通の子だったらピンポンをためらうのだろうけど、なかなか強い心臓を持っている私はためらうことなくインターホンを鳴らした。
《はーい》
すぐに、スピーカーから女性の声が返ってきた。
「こんにちは。私柴田くんと同じクラスの佐野晶といいます」
《えっ! ちょっと待っててね。今すぐ行くからっ》
私が柴田のクラスメイトだと名乗ると、女性は慌てた声を出す。
そして、バタバタバタバタッと走る音が近づいてきて、
勢いよく玄関扉が開いた。
「こんにちは、柴田くんいま」
「わぁ嬉しいっ! 大吾くんのお友達が家に来るなんて初めてのことよっ。あっ、私大吾くんの母親の柴田佳代子です。さあ、あがってあがって」
興奮気味の佳代子さんは私の腕をぐいぐい引っ張る。
女性にしては長身で、ショートカットがよく似合う人だった。
この人が、柴田の継母なのだろう。
イメージしていたよりもずっと明るくて、さっぱりした人という印象だった。