明日が終わる、その時まで【完】
「あの、それよりも柴田くんはどこに」
「大吾くん? 今朝学校に行ったわよ?」
「えっ」
「あら? そういえば、今って授業中よね。佐野さん、学校は?」
ギクッ。
これ以上追求される前になんとか誤魔化さないと。
「っその、昨日授業でショッキングな映像見せられて、柴田くんもちょっと気分悪そうにしていて、それで今日学校来てなかったから心配で……」
墨汁一気飲み事件のことはもちろん伏せた。
「ええっ、そんなことがあったの? 帰ってきたときは普通に見えたけど……そう、学校行ってなかったのね」
心配そうな顔で目を伏せる佳代子さん。
演技には見えない。
私には佳代子さんが柴田のことを本気で心配しているように見える。
「ママ~?」
玄関前で話し込んでいる私たちの元に、家の中から小さな男の子が目をこすりながら近づいてきた。
「あっ、祥吾、起こしちゃった?」
「そのひとだれ?」
「お兄ちゃんのお友達よ」
「にーたんの?」
雰囲気は全然違うけど、目や鼻の形がどことなく柴田に似ている。