明日が終わる、その時まで【完】
「ねえ、晶ちゃん」
「はい?」
「大吾くん……学校楽しそう?」
「いいえ、全く」
家族を心配させないために、ここは嘘でも「はい」と答えておくべきだったかな。
でも、家族だったら心配してほしい。
嫌だと拒否されても、うるさいと怒鳴られても、もっと寄り添ってほしい。
「そっか……」
「すみません。失礼します」
意気地なし。
走り出した私は、心の中で佳代子さんをなじった。
こぶつきと結婚するって決めたのなら、もっと寄り添ってよ。
もっと柴田のこと見てよ。
もっと心に触れてよ。
一歩引いて見守るなんて、まだまだしないでよ。
そっちが思っているよりずっと、こっちはガキなんだから。
「あ゛ー」
自分たちはちゃっかり子どもつくっちゃってさ……。
祥吾くん素直で良い子そうだった。
良い家庭なんだろうね。
その中に柴田はちゃんといるの? のけ者になってない? のけ者にしてなくても、のけ者にされているように感じさせてない?
心が安らげるはずの自分の家の中で新しい家族が出来上がって、柴田のお父さんはちゃんとフォローしているの?
大人たちさ、しっかりしてよ。