明日が終わる、その時まで【完】



本当なら15分くらいかかるのに、ほぼ全速力で走っていたら10分で土手に着いていた。

乱れた呼吸を整えながら大橋の下へ向かうと、制服を着た複数の男が見えた。


あれは北高の制服だ。二人いる。

うちの南高の制服を着た男子もいた。

あの髪色に体格、顔は見えないけど、間違いなく柴田だ。


うちの学校にあんなハイトーンの髪の毛している男子は柴田一人しかいない。

三人のすぐそばまで近づくと、北高生の一人のが私の存在に気づいた。



「あれー? あの子大吾と同じ高校じゃねー?」



私の制服を見て気づいたのだろう。

目の前に広がる太く長い川を繋ぐ大橋を(へだ)てて北高と南高は存在していた。

向かいにあるとはいえ、結構な距離が開いているから、この大橋を渡らない限り生徒たちが交わることはほとんどない。

私も北高の生徒に会うのは初めてだった。


噂通りというか……。

ひと昔、ふた昔前くらいのヤンキー感がすごい。

この令和の時代にまだ存在していたのかと、ちょっとした感動すら覚える。



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