明日が終わる、その時まで【完】
私に気づいた北高男子をAとする。
もう一人の北高男子をBとしよう。
Aの声によって、Bと柴田大吾がこっちを振り返る。
柴田は私を見るなり、あからさまに「げっ」って顔をした。
初めて会った日からいつも無機質だった瞳に、初めて感情らしい感情が見えた気がする。
「私もまぜてよ」
ひらひら手を振りながら近づく私を拒絶するように、柴田は背を向けた。
このまま無視してやり過ごそうと思っているに違いない。
だけど、柴田の思いとは反対に、北高のAとBが興味津々といった様子で私に近寄ってくる。
「すげー! 女子じゃんっ! 生の女子! しかもめちゃくちゃマブイッ‼」
Aが目を輝かせて私の顔を覗き込んでくる。
北高は男子校だから女子生徒が珍しいのだろう。
それよりも、Aの前歯どこいったの?
なに? Aの、この絵に描いたようなザコヤンキー感は。
「あんた、大吾の女?」
Bはスキンヘッドでまゆ毛がない。
二人の強烈な見た目に大差はなかったけど、BはAよりも知性がありそうに見えた。
「私は柴田のクラスメイトの佐野晶。性別は女だけど、柴田の女じゃない」
「うーわー! クラスメイトだってよー! 共学すげー羨ましいー!」
Bにした返事に、Aが興奮して鼻息を荒くする。
このA……すっごいバカだけど、悪いやつじゃなさそう。