明日が終わる、その時まで【完】
「なんで? 大吾に一目ぼれでもした? こいつ男前だしなぁ。いやーでも晶ちゃんはそういう女じゃねえっぽいよなぁ。ねえ、なんで? 大吾から話聞いたよ。大吾の目の前で墨汁奪って一気飲みした頭のイカれた女って晶ちゃんでしょ?」
頭のイカれた女か。
まあ間違ってはないかな。
柴田の背中に視線を向けるも、柴田はピクリとも動かない。
「なんでそんなことしたの? 今日もさ、今授業中でしょ? なんで大吾を探しにきたの?」
見た目に反して、終始穏やかな口調で私を問い詰めるB。
へらへらと笑っているくせに、その目は真剣そのものだった。
きっと、AとBにとって柴田は大切な存在なのだ。
だから、私が柴田を傷つける人間ではないことを確認したいのだと思う。
なんて答える?
柴田大吾も聞いてるのに、Bになんて言えばわかってくれる?
いいや、考えるな。
上手い言葉を作る必要なんてない。
自分の言葉で、自分の気持ちを伝えればいい。