明日が終わる、その時まで【完】
「前にも言ったけど、あんた私の大切な人に似てるの。私さ、その人にすごく救われたんだ」
辛いとき、ポンの存在が、いつも私の心を慰めて、癒してくれた。
「俺とそいつは違う人間だ。俺はお前に何の貸しもない」
「そうなんだけど、でも……うーん、違うな。私、シンプルにあんたのことが心配なの」
ポンに似てるとか似てないとか、正直どうでもいいんだよね。
「……は?」
「理由なんてどうでもいいじゃん」
難しく考えなくてよくない?
悲しそうにしている人間が目の前にいたら、気になる。
そっとしておくのも優しさだと思う。
でも、みんながみんなそっとしていたら悲しみが癒えるどころか、深くなることだってある。
柴田は、人を寄せ付けない雰囲気を持っているし、心配なんだ。
私の自分勝手な言い分に呆れたのか、それ以降言葉を失う柴田。
でも、しばらく黙っていた柴田がそっと俯いて、
「…………放っておけないって……言うのかよ」
ぽつりと何かをつぶやく。
声が小さくて何を言ったのか、すべては聞き取れなかった。
ごめん、もう一度言って――と、伝えようとしたときだった。