明日が終わる、その時まで【完】
「だってさ、目撃者がいたわけじゃないんでしょ? 自殺っていう死因は、バルコニーの欄干の高さと踏み台、精神科に通ってたっていう状況から推測した結果でしょ?」
「そうだけど……」
「あんただって本当は納得してないんじゃないの?」
「……」
柴田が口を閉ざす。
どうやら図星のようだ。
お母さんが死んだこともそうだけど、その死因が自殺ってことに納得していないから、納得したくないからこそ、今も苦しみから解放されないんじゃないかなって、思っていた。
「……自殺だったらどうすんだよ」
「ん?」
「徹底的に調べて、その結果が、やっぱり自殺だったらどうすんだよ」
「そんなこと知らないよ」
「ああっ?」
「それは、その時に考えよう。一緒に、考えようよ。で、ちゃんと、お母さんに手を合わせに行こうよ」
その時はその時。
だってさ、もしものこと考えだしたら何も始められないからね。