明日が終わる、その時まで【完】



――昼休み。


小春が私を空き教室に連れてきた。

人がいないのを確認すると、私の腕をぎゅっと掴んだ。



「晶ちゃん、大丈夫なの?」


大丈夫ってなにが? 

なんて、野暮(やぼ)なことを聞かなくてもわかっている。

柴田のことだ。



「本当にもう、平気なの?」


2年2組には久しぶりの平和が訪れていた。

楠田くんに十分な報復をして満足したのか、まっつんたち男子は以前のような健全な少年に戻った。

楠田くんは少しだけ大人しくなって、男子にも横柄(おうへい)な態度をとらなくなった。

柴田はその状況を黙って受け入れた。


まっつんたち男子、楠田くん、柴田には、まだ距離はあるけど、誰かが誰かを無視したり、攻撃したりはすることはない。


女子には女子の世界があるように、男子には男子の世界があるのだろうから、そこらへんは自然な流れに任せた方がいいのだと思う。


「わかんないけど、多分大丈夫じゃない?」


10日ほど続いだ学級崩壊が終わりを迎えたことに、一番喜んでいるのは間違いなく担任の原田先生だ。


『これで実家の八百屋継がなくてすむわ!』と、朝のホームルームで泣いて喜んでいた。

気にするとこそこ? って思ったけど、原田先生が元気になったから良しとした。


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