明日が終わる、その時まで【完】
「もう、怯えなくて大丈夫だから」
不安に揺れる瞳で私を見つめる小春に、笑顔を向けた。
「私、怖いの」
「だから大丈夫だか」
「晶ちゃんが柴田くんに傷つけられるんじゃないかって」
私の声を遮るように、小春の声が教室に響く。
「……私が?」
「ごめんね。私、立ち聞きするつもりなんてなかったのに……昨日、教室を出て行った晶ちゃんを追いかけた福沢くんの後を、私も追っていたの」
「えっ、じゃあもしかして……」
「全部、聞こえてた。柴田くんと福沢くんの二人が幼馴染だってことも……柴田くんのお母さんのことも……」
「そっか。そうだったんだ」
「私、晶ちゃんが……晶ちゃんがお母さんのこと思い出して、辛くなるんじゃないかって……思って」
「小春……」
それでずっと朝から浮かない顔をしていたんだね。
私のことを、心配してくれていたんだね。