明日が終わる、その時まで【完】


「柴田、ごめん! 遅れた!」


電車を降りて、待ち合わせの場所に行くと、すでに柴田が待っていた。

黒いデニムに白黒チェックのシャツという服装で約束の場所に立っていた。

そういえば、私服姿の柴田を見るのは初めてだった。

やっぱりこうして見ると明らかにスタイルがいいし、なにより恐ろしく顔が整っているかららか、何を着ても絵になる。

恐らく、だっさいジャージを着ても、ネズミ色のスウェットを着ても様になるのだろう。

そりゃ、墨汁を飲まされそうになっても亜美と梨花が諦めないわけだ。



「おせーよ」

「ごめんって」


日曜日の昼間から柴田を呼び出した理由はこの場所にある。

人気(ひとけ)のない雑居ビル。

ここが今日柴田と待ち合わせていた場所だった。


このビルの二階に〈町田メンタルクリニック〉――柴田のお母さんが通っていたクリニックが入っている。


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