明日が終わる、その時まで【完】
「わしが言えることはもうなにもない。さあ、帰りなさい」
「……ありがとうございました」
柴田が言う。
そして先生に頭を下げると、すぐに立ち上がって、
「帰るぞ」
私を促した。
「……うん」
私も先生に一礼して、柴田に促されるまま、早々に部屋を出た。
エレベーターから降りて、ビルから離れるようにずんずんと歩いてく柴田を必死に追いかける。
一体どこまで行くつもりなのか、止まることなく歩き続ける柴田。
駅をとっくに過ぎて、やがて小さな公園が見えてくる。
「柴田っ」
ちょっとタイム、もう足も息も続かないって。
私は公園の前で足を止めた。