明日が終わる、その時まで【完】
「警察の捜査や状況証拠よりも、私は先生の言葉を信用する。柴田の言葉を信じる」
20年以上お母さんと心を通わせてきた先生を信じる。
先生を信じていたお母さんを信じる。
お母さんの愛情を信じる柴田を信じる。
「……お前さ、論より証拠って言葉知ってるか?」
「知ってるよ。でも私にとっては証拠だもん」
顔を上げた柴田と目が合う。
私は強い意志を込めて柴田の目を見つめた。
「お母さんのことを誰よりもわかっていた先生とお母さんが誰よりも愛していた柴田の証言は私にとっては証拠なの。お母さんが自殺じゃないっていう揺るぎない証拠なの」
「…………じゃあ、なんで死んだんだよ。なんで母さんは、死んだんだよっ」
私の思いから逃れるように、柴田は勢いよく顔をそらす。
そして、胸に込み上げる思いを吐き出した。
「だから、その真実を見つけようよ。私たちで見つけようよ。色んな角度からさ」
見る角度を変えれば、見える景色も変わる。
結果が180度覆ることだってある。
私は今日先生に会って確信を持った。
柴田のお母さんは自殺ではないって。