社長じゃない僕は、君のために何ができる? 〜社長、嫌いになってもいいですか?シリーズ 最終章〜
※少しだけ性的な描写があります。ここを飛ばしても話の展開上問題はないので、苦手な方は次のページにお進みください。

















僕は雨音をたった1度しか抱いていなかった。
それも、特別に用意した場所ではなく、僕のつまらない部屋で。
さらにいえば……雨音にとっては僕とのそれが、初めてだった。

……もっと、彼女の中で憧れのシチュエーションがあったのではないか。

そう考えた時には、やっぱり遅かった。
もし、彼女の中に理想があったとしても、すでに僕が奪ってしまったのだから。
せめて、次にするときは、彼女が望む場所で、望むような形でと思っていたのに。

雨音と僕が再会してから1ヶ月の間、僕はほとんどの夜を雨音と共にした。
会わなかった空白を急速に埋めるように、僕が雨音を望み、僕から雨音を抱きしめ、そして僕が雨音を貪ってしまう、そんな夜を繰り返した。

雨音は、そんな僕に何も言わない。
怒らない。
それどころか、時には笑顔を浮かべて、僕の全てを受け入れようと頑張ってくれた。

「雨音……大丈夫?」

僕の欲望を吐き出し終えた後、僕は必ず雨音に確認した。

痛くなかっただろうか。
気持ち悪くなかっただろうか。

そんなことを聞くくらいなら、初めからしなければいいのに。
僕は、それができないくらいに、雨音を愛してしまった。
雨音は、そんな僕の心に寄り添うように

「ありがとう」

といつも応えてくれる。
どっちが年上なんだろうかと思ってしまうくらい、雨音は僕を救う言葉を言ってくれた。
僕はそれが彼女の本心ではないことも……なんとなく感じていた。
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