エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい


「ほら、頭が上がらないだろ」
「そうですね」

チラリと時計を見て、煌斗は話を切り上げた。

「とにかく、彼女のこと頼んだよ。俺は仕事に行くから」

それだけ言うと、煌斗は支度のために部屋へ戻っていった。
キッチンにはふたりだけになったが、三谷は満面の笑顔で優杏を見つめている。

「優杏さん、なんでも三谷にお任せくださいね」
「あ、ありがとうございます」

玄関のチャイムが鳴った。迎えの運転手が来たのだろう。
アタッシュケースを持った煌斗が玄関に向かう。

「行ってくる」
「はい」

三谷と優杏が送りに出ると、煌斗は嬉し気に言った。

「見送られるって、いいもんだな」

「フフッ、いってらっしゃい煌斗さん」

優杏も恥ずかしそうに軽く手を振って見送っている。

その様子を、三谷は微笑ましそうに見守っていた。

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