エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
結局、この疑問は心の奥深くにしまい込んでしまった。
俺たちに弟が存在していることは、兄の郁杜も気にかけている。
母と弟はどこでどんなふうに暮らしているのか……。
父の手前、兄と俺は確かめることは出来なかった。
俺よりひとつ年上でしっかり者だった兄は、
両親が毎晩のように喧嘩していたのを覚えていると言っていた。
冷え切った両親の関係が記憶にあるせいか、兄の郁杜は結婚がトラウマになったようだ。
優秀な若手М&Aマネージャーとして名を馳せながらも、未だ独身を貫いている。
近ごろでは、女嫌いではないかと言われるくらいだ。
(兄貴にも幸せになってほしい)
自分と優杏のような出会いが、兄にも訪れてほしいと煌斗は願っている。