エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
煌斗がポケットから指輪を取り出した。
優杏の左手を取って、その薬指にダイヤの指輪をはめる。
「綺麗……」
「母からだ」
「お母さま?」
「俺と兄貴の結婚相手のために準備していたらしい」
「まあ……」
母親の気持ちを思うと、優杏は言葉が出なかった。
この指輪にどれ程の思いを込めてくれたのだろうか。
「出来るだけ早く、籍だけでも入れないか?」
煌斗の提案に、優杏は微笑んだ。
「煌斗さんがいいなら私は……嬉しいです」
「ご両親への挨拶がすんだら、入籍しよう」
「はい」
優杏が頷くと、煌斗はその頬に手を添えて唇を寄せた。
軽いリップ音がする。それから肩に腕を回して優杏を抱きしめた。
「その時は……覚悟してくれよ」
優杏がプルリと震えた。それを待っていたかのように煌斗は口づけた。
甘い優杏の唇を楽しむように味わっていく。
キスは長く続き、ふたりの夜が更けていく。