エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
飲み物を運んであげたり、食べごろのバーベキューを皿に取ってあげたり……。
あのぶっきら棒だった兄さえ、好意を寄せている人がすぐわかるほど変わるのだ。
(煌斗さんも彼女ができたのかな……)
大学に入ってから彼は身長がぐんぐん伸びて、うんとステキになっていた。
高校時代は彼に見向きもしなかった女子マネージャーたちまで、彼に告白したらしい。
兄からそんな話を聞くたびに、私は胸が痛んだ。
(今に、彼女を連れてうちに来るのかな)
優しいところも、努力家なところも、彼の全部が好きだった。
幼い頃からずっと彼にあこがれてきたのだから。
賑やかにバーベキューパーティーをしている兄たちを屋敷の中から眺めながら、
私はだんだん寂しくなってきた。
(私じゃあ、恋人にはなれないのかな……)
煌斗さんは本を読んでくれたり、一緒に遊んでくれたり……。
幼い頃からのたくさんの思い出が胸をよぎった。
だから、彼が女の人と笑ったりお喋りしているのを見るのはつらかった。