エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
楽園は消えた
ケニアに行くことを決めた以上、
煌斗に話さなければと思っていたが、相変わらず彼の帰宅時間は遅い。
(やっぱり私、避けられているんだ)
それなら、あえて彼に旅行の計画を話す必要はないかもしれない。
その日の朝も煌斗が早くに出かけてしまったので話しそびれていた。
優杏が自室で仕事をしていたら、三谷がパタパタと廊下を走ってくる音が聞こえた。
ノックと同時に、三谷の慌てた声がする。
「優杏さん、お客様です」
「え? 私に?」
「外国の方なので、私ではよくわからなくて……応接にお通ししています」
三谷は突然の来客に戸惑っているようだ。
心当たりはなかったが、優杏が応対しないと三谷はもっと困るだろう。
「すぐに行きますね」