エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
ジェニファーの訪問が引金となって、優杏は成城の家を出て秋本家に帰ることにした。
近いうちにケニアに行くことも考えて、三谷にムサシを頼んでみた。
「ムサシのお世話は楽しいですから喜んでお預かりしますよ。
……でも、寂しいですね。優杏さんがここにいないと」
「それから、私が家に帰ったことは煌斗さんに言わないでください」
同じ家に住んでいても、このところ顔を合わせていない。
それは通いの家政婦である三谷も同じだった。
「優杏さん、それでよろしいんですか?」
「このところ煌斗さんとは会えてなかったし、私がいなくても気がつかないと思うから」
「でも……」
三谷は、ふたりが喧嘩でもしているのだろうかと不安になった。
「お互い、仕事が忙しいだけだから心配しないでくださいね」
「わかりました」
三谷は渋々、優杏に同意した。
この次に煌斗の顔を見たら、『しっかりしろ』と言わなくてはと秘かに思った。