エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
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煌斗は、ただ忙しかった。
父は九州の仕事に夢中で向こうへ行ったきりだし、ジェニファーは突然やって来て無理難題を押しつける。なにかあればホテルへ呼び出される日々だ。
時間はいくらあっても足りなかった。
(クソッ、なんとかしないと……)
屋敷に帰って寝るだけの生活がひと月近く続いていた。
優杏と顔を合わせないのは、申し訳なく思ってもいたからだ。
あんなふうに無理やり抱いてしまったことを、今となっては後悔していた。
入籍までは……と言っていた優杏の夢を打ち砕いてしまったのだから。
(つまらない嫉妬のせいか)
父の言ったとおりだった。
やっと手に入れた愛は、その思いの分だけ嫉妬も深かった。