エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
煌斗は、ジェニファーの機嫌を損ねないように兄の郁杜にも手伝いを求めた。
彼女は本国からもスタッフを呼び寄せて、本格的に日本で仕事を始めようとしている。
ビルの購入は無理だとしても、兄は企業間のM&Aが専門だ。
彼女の希望を取り入れた形で、片岡地所以外の会社と合併できたら
ジェニファーも父親に対して面目が立つだろう。
(そうすれば、今度こそ彼女と縁を切れる)
その為にも、考えることは山積していた。
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「お前、少し休んだらどうだ? 酷い顔してるぞ」
副社長室に顔を出した郁杜が、煌斗の顔を見るなり言った。
「兄さん、あと少しなんだ」
「婚約者を放ってまで仕事か?」
郁杜から見ても、このところの弟の仕事ぶりは尋常ではない。
どうやら元妻が絡んでいるためらしい。
「あの、ジェニファーって人は厄介だな」
「ああ……負けることを知らないから、相手に対して遠慮が無いんだ。
彼女の手法は日本では嫌われるかもしれないな」