エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
「上手くやれるか?」
公私ともにつき纏われて、弟は苦労していると聞いている。
兄としては心配だった。
「兄さんこそ、苦手なタイプなのにつき合わせてすまない」
プライベートでなら、ジェニファーは郁杜がもっとも苦手とするタイプだ。
「いや、仕事だけの関りなら構わない。優秀な人だから話が早くて助かっているよ」
「そうか……それならよかった」
「だが、お前を見る目はなにを考えてるのかわからないぞ」
ジェニファーの獲物を狙うような鋭い目つきは気にかかる。
「気をつけるよ」
「婚約者の優杏さんにも話しておいたほうがいいんじゃないか?
厄介な相手が日本に来てるって」
「そうだな……考えておくよ」
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せっかくの兄の忠告を、煌斗は聞き流してしまった。
(もうすぐすべてが片付く。そうしたら、優杏との時間も取れる)
ゆっくり話して、この前の夜のことを詫びよう。
それから、籍を入れるんだ。
それだけを楽しみに、煌斗は仕事に没頭していった。