エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
成城の片岡家に戻ると、ちょうど三谷がムサシの散歩から帰宅したのと出くわした。
「あら、お帰りなさいませ。お早くていらっしゃいますね」
三谷の声に批判めいたニュアンスを感じて、煌斗は憮然とした。
「忙しかったんだ。優杏は帰っているか?」
「それは……」
ただならない煌斗の雰囲気に押されて、三谷は優杏との約束を破ってしまった。
「少し前から、秋本のおうちに帰っておられます」
「は?」
「ですから……」
「ここにいないのか?」
三谷はムサシを撫でながら、考え込んだ。
煌斗の焦った表情を見ると、これはチョッとした喧嘩のレベルではなさそうだ。
「ええ、いつだったか外国からのお客様が見えたあとくらいでしょうか、
庭の工事が終わったから秋本の家に帰るとおっしゃって……」
三谷の言葉を最後まで聞くことなく、煌斗はガレージに行き愛車に飛び乗った。