エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
ダリアや百日草は色褪せ始めて、夏の花は終わりを迎えている。
もう少ししたらコスモスや桔梗といった秋の草花が満開になるだろう。
煌斗は夕焼けに染まるイングリッシュガーデンを見る余裕もなく、
門のベルを鳴らし続けていた。
それでも反応はなく、切り妻屋根の屋敷は静まり返っている。
(留守なのか……)
その時、鈴原が庭の向こうからひょっこりと顔を見せた。女性を伴っている。
「すみません、今は庭の公開をしていないんで……あ……」
彼も煌斗に気がついたようだ。
「片岡さん……どうなさったんですか?」
「鈴原さん、優杏は留守ですか?」
「あの……お聞きになっていないんですか?」
どう答えたものか戸惑っている鈴原の横から、短い髪の女性が口を出してきた。
「え?」