エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
「ジェニファーのことはすべて誤解だ。俺が愛してるのは君だけだ」
「煌斗さん……」
その時、搭乗手続きを急ぐようにとのアナウンスが流れた。
煌斗の胸をそっと押し戻しながら、優杏がきっぱりと言った。
「煌斗さん……私、行ってきます」
「優杏……」
煌斗らしくない、初めて見せる少し悲しげな表情だ。
「兄の作った井戸を見て、現地の子どもたちに会って……」
優杏は煌斗を見上げながらニッコリと笑う。
「あなたのところに帰ってきます。必ず」
その言葉を聞いて、もう一度煌斗は強く優杏を抱きしめた。
「待っている」
周りからどんな風に見られているか気になどしていられない。
煌斗は優杏に繰り返し口づけた。
その夜、優杏は遠いアフリカへ旅立って行った。