エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
その時、玄関のドアが開いて女性が顔を見せた。
「ムサシ、ステイ」
そのひと声で、ムサシはピタリと動きを止めた。
この家で会った事のない、美しい人だった。
普段着なのに、どこかオシャレに見えるのは色のコーディネートが上手いせいだろうか。
ベージュのゆったりしたパンツに、身体の曲線がよくわかるぴったりした白いTシャツ。
キュッと細いウエストに赤い小ぶりのエプロンを着けている。
叔父さん達は留守なんだろうかと思い、自己紹介をした。
その女性は、俺の顔を見て驚いた様だった。
よく見たら卵型の顔に、大きな瞳。その目元は親友にそっくりだ。
「もしかして、優ちゃん?」
半信半疑だったが、思い切って名前を呼んでみた。
「お久しぶりです。優杏です」
にっこりと笑うと小さなえくぼが左頬に見えた。間違いない。
『優ちゃん』
懐かしい響きに胸が熱くなった。親友が大切にしていた可愛い妹、優杏だ。