エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
(いつの間に、こんな魅力的になったんだろう)
幼い頃から知っているだけに少し動揺してしまった。
今日は弔問に来たんだから、狼狽えるな。
久しぶりに会った親友の妹に心を奪われるなんてどうかしているとしか思えない。
「あの……」
今日の訪問理由を告げようとしたら声が重なってしまった。
彼女は全てわかっていると言いたげに、中に入るようにと促してくれた。
玄関から一歩入ると、空白の時間が嘘のように満たされていく。
陽のさす廊下を歩いて、庭のよく見える応接間に通された。
目をつむっていても、この先に進んで行けるくらいだ。
クリーム色の大きなソファーが置いてあったリビングと八人掛けの食卓のあるダイニング。
カウンター越しに見えたキッチンは広かったし、勝手口からはすぐ裏庭に飛び出せた。
二階だって、どれが悠慎の部屋だったか覚えている。
それくらい、俺にとっては第二の自宅のような秋本家だった。