エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
「せっかくお越しいただいたのに……ここには遺影しかないんです」
優杏が話し始めたから、過去に飛んでいた気持ちを現在にむりやり引き戻した。
「お線香をあげさせてもらおうと思ったんだが……」
「実は両親はここに住むのが辛いと言って、以前に片岡地所から購入していた湘南のマンションへ引っ越してしまって……ごめなさい」
俺でもこれほどのショックを受けたんだ。ご両親の哀しみは計り知れないだろう。
「引っ越したのはつい最近のことなので、お知らせしていなくてすみません」
「それで、優ちゃんがどうしてここに?」
さっきから気になっていたことを聞いてみた。
「私が、ここに住もうと思って」
「えっ?ここにひとりで?」
「京都の会社は辞めたので、自宅兼事務所にして住もうかなって思ってます」
「それは……」