エリート御曹司は独占本能のままにウブな彼女を娶りたい
勝手口から家の北側にある裏庭へ出ると、芝生の緑が目にしみた。
気分を変えるどころか、一瞬で高校時代に引き戻されたせいで涙腺が刺激されてしまったようだ。
「変わらないな」
涙を堪えたせいか声が少し擦れてしまった。
「そうですね……」
優杏もしんみりとした声だ。
真っ白だったゴールポストは少し錆びていたし、ネットもほつれている。
だが、置かれた場所は昔のままだ。
「このあたりでよくバーベキューパーティーしたよな」
「ええ、OB会を兼ねて」
見渡せば、あちこちに思い出が溢れている。
「優ちゃんもあれこれ手伝ってくれてた」
「飲み物を運ぶ係でしたけど」
思わず顔を見合わせて、微笑みあった。